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July 21, 2016

危機の時代が始まった

 太平洋戦争後、日本国憲法下で平和主義を国是としていた日本が、7月10日の参議院選挙で改憲勢力が3分の2を突破し、憲法改正国民投票が行われることが必至の情勢となった。公明党、大阪維新の党は、最初のうち抵抗しても、自民党が圧倒的な力を持っているため、最終的には擦り寄る形で憲法改正国民投票に賛成すると思われる。国民投票となれば、平和主義を続けるか、放棄するか、体制の選択を迫られる。軍国主義、平和主義に続き、7月11日以降、日本は「危機の時代」に突入したと言える。平和主義は風前の灯火となり、安保法という名の戦争法で平和主義は既に骨抜きになっている。国民の大半が無関心だから、選挙で改憲が争点になっていなかったからというのは理由にならない。政治は数が命、数さえ取れば権力を生むのである。
 国民投票では、平和主義を守るために改憲に反対しよう。例え、改憲になっても、諦めずに平和主義を訴え続けよう。
 

May 01, 2011

人災を止めろ

 4月29日、内閣官房参与に任命された、原子力の専門家で東京大学大学院教授の小佐古敏荘氏が内閣官房参与を辞任するために記者会見を開いた。

小佐古氏は以下の2点に対して抗議した。
1 福島県の小学校等の校庭利用の放射線量基準が、1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに恣意的に引き上げられた
2 SPEEDIのデータが隠蔽された(ことで、飯舘村等の30km圏外で被爆被害が広がった)

官房参与が辞任・記者会見資料を全文掲載します(NHK「かぶん」ブログ)

年間20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたいものです。年間10mSvの数値も、ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で(せいぜい年間数mSvです)、この数値の使用は慎重であるべきであります。

 私は原発事故に対して挙国一致で対応する必要があると思い、政府への批判は事故終息後にすべきだと思っていたが、子供を見殺しにする対応を見て、菅内閣は即刻総辞職すべきだと考えを変えざるを得なくなった。
 福島県浜通りだけでなく、中通りで積算被爆量が高い地点が多い。このことに対する対応に政府は苦慮しているのだろう。しかし、大人に対して、避難しなかった場合や、放射線に対する用心を怠った場合に、自己責任を迫ることができるかもしれないとしても、子供に自己責任を迫ることは決してできない。
 原発事故は1ヶ月を過ぎて、完全に人災の様相を呈してきた。

内閣参与が痛切批判し辞任:児童の放射線許容量(Blog vs. Media 時評)
【遅いPC向け】福島県内 4,400 箇所の放射線量を可視化して、ついでに年間積算被曝量も推定してみた(宇宙線実験の覚え書き)

July 10, 2009

日勤教育の責任者こそ起訴せよ

 2009年7月8日、JR西日本の社長(現場が急カーブに付け替えられた1996年当時の常務取締役鉄道本部長)が業務上過失致死傷罪で在宅起訴された。起訴された理由は、2005年4月25日の福知山線脱線事故(乗客106人死亡、562人重軽傷)当時、カーブの危険性を認識できたのに、経費の増大を懸念し、ATSを設置しなかったというもの。

 事故から何年たっても捜査が進展しないので、私はてっきり、当局が捜査を断念したのかと思っていた。当時から起訴は難しいといわれていたので、社長一人だけでも起訴したのは一定の成果といえなくもない。

 しかし、気になる点がある。事故の理由は日勤教育にあったことは周知の事実であり、運転士が日勤教育を恐れるあまりパニックになって、事故を起こしたということが通説になっている。その日勤教育を不問にして、ATSのみについて起訴してよいのだろうか。

 兵庫県警が既に書類送検している元運輸部長二人については、懲罰的な日勤教育で運転士に心的圧力をかけたとされるが、日勤教育を事故原因とする証拠がないことを不起訴の理由としている。

 ATSなど今後の事故防止策については、法改正や国土交通省による行政指導で対応できるはずで、裁判では第一義的に事故の原因を問うべきではないか。

 証拠がない負け戦になったとしても、鉄道史上類をみない大事故の原因になった日勤教育について裁判で争うこと、そのことこそに意義があり、それをしなければ犠牲になった遺族も運転士も浮かばれないように思う。あらゆる職種で労働環境が悪化しているこの時代に、裁判の勝ち負けを越えて、検察が裁判で訴えることは意味が大きかったのではないか。

JR福知山線脱線:JR西社長起訴 「会社の責任は」 長女亡くした奥村さん /兵庫(毎日新聞)

JR西日本の脱線事故はこのまま風化してしまうのか(Cityscape Blog)

November 22, 2008

KY−筑紫哲也氏の手紙

 空気を読め、さもないとお前は時代遅れだぞ、仲間外れだぞ、とおどしている。そうでなくとも「命令型」でよかった日本語を「懇願型」の婉曲話法に変えていくほど心優しい若者たちが、この同調努力にどう耐えられるのだろうか—と私はまたお節介な心配をしています。
 それどころか、この国の歴史のなかで、何を残し、何を捨ててもよいから、これだけはあなたたちが引き継いで欲しくはないと私が思い続けてきたもの、それが「KY」に凝縮している思考なのです。
 言うまでもなく、この国の歴史のなかで最大、最悪の国家的失敗(破滅)は1945年8月15日に決着しました。なんでそんなことになったのかを辿るとやはり「KY」に行き着くのです。その話をもっときちんとできる「手紙」を書かないといけませんね。ではまた。
「青春と読書」10月号(集英社)に連載されていた筑紫哲也氏の「若き友人への手紙」第二回から一部抜粋 

 周知のように筑紫氏は亡くなったため、手紙の続きは読むことができない。私もKYについては同じようなことを考えていたので、筑紫氏による戦前のKYについての話はとても読みたかった。
 私も以前は筑紫氏を生温いと感じたこともあったが、最近は芯の強さを持ちながらもアンテナの広さとその卓越したバランス感覚はほかのジャーナリストにはみられないものであり、尊敬の念を感じていた。
 筑紫氏は最後の多事争論で日本はガンにかかっていると話していた。的を得ているとしか思えない鋭い表現だったが、最近明るいニュースもあった。米国でオバマ氏が大統領に当選したことだ。このニュースには、筑紫氏も天国で喜んでいることだろう。
  

September 16, 2007

必要なのはテロ特措法ではなく労働環境特措法

 安倍首相が臨時国会が始まったばかりの時点で退陣してしまった。このことについては、ただ呆然としてしまったというしかないが、いくつか感想があるので記しておくことにする。

1 安倍首相は自分の思いどおりに美しい国づくりができなくなったこと

 内閣改造で安倍首相は自分の思いどおりの政策が打ち出せなくなってしまったのではないか。実力者が内閣に入ったことに加えて、官房長官に与謝野氏が就いたことで、タカ派的な政策を進めることが難しくなったのかもしれない。

2 日本政府にとってアメリカ合衆国に従うことが至上命令であること

 安倍首相は参院選惨敗を気にしない見事な鈍感力をみせたが、テロ特措法のためには政治生命を賭け、首相退陣するというとても敏感なところをみせた。これは、民意は気にしないが、アメリカの意向は気になって仕方ないということで、いかに安倍首相がアメリカに従属していたかを示している。安倍首相はタカ派ではあるが、ナショナリストではなかったのかもしれない。

3 日本は総理大臣まで心を病むような国であること

 日本は格差社会が進み、過労死する人がいる一方で、失業している人や働いても生活していけないほどの給料しかもらえないワーキングプアの人がいる。労働環境の劣悪化や、失業に苦しむ人などで、自殺者は先進国最大の3万人超となっている。このストレスに満ちた国のなかで、格差拡大に貢献していた首相も例外でなく、心を病んでしまったというのはブラックジョークを通り越して、なんだかもの悲しい。

 首相は一般のサラリーマンとは違うとはいえ、日本的労働環境から逃れることはできなかったということだと思う。小泉元首相のように時々好きなオペラを見に行くなど、うまく息抜きをすることができなかったところに、自分の内閣で実力者に取り囲まれ、アメリカからプレッシャーをかけられ、窒息状態になってしまったのだろう。安倍首相の自己責任といえばそれまでだが、周囲の人もメンタルヘルスの認識に甘さがあったのではないか。

 今、日本に必要なのは、アメリカのブッシュ大統領に忠誠を誓うためのテロ特措法ではなく、安倍首相も含めた日本人のための労働環境特措法ではないか。自殺者3万人超という現状を考えれば、労働環境とメンタルヘルスについて、緊急に特別措置しなければならないだろう。

 なお、週刊現代による安倍首相の脱税疑惑が、首相退陣の理由の一つであったことも事実だろう。しかし、私は上に書いたようなことから、脱税疑惑がなくても安倍首相は政権を投げ出していたように思えてならない。

参考ブログ
病む社会を感じる(GK68's Redpepper)
安倍総理、辞任表明(霞が関官僚日記)
安倍スキャンダルは本物−−自民党崩壊の地響き(ブログ時評)

February 18, 2007

安倍政権は国民を機械扱いするのか

 ホワイトカラー・エグゼンプションは、マスコミから残業代ゼロ法案という的確な名称をつけられたこともあって、通常国会への提出は見送られた。しかし、政府・与党は参院選後に改めて国会に提出することを考えているといわれる。それならば、参院選で導入の是非について問わなければいけないが、安倍首相から聞こえてくるのは憲法改正ばかりで、その気配はなく、残業代ゼロ法案は参院選後まで隠そうとしているようだ。

 柳沢厚労相の産む機械発言が問題化するなか、また新たに「工場労働者は時間だけが売り物」という発言をした。野党議員から「男は働く機械だとでも言うのか」と言われても仕方がない。

 柳沢厚労相の問題発言は単なる失言ではなく、安倍政権の復古主義的な思想が表に表れたとみるべきだろう。男は働く機械、女は産む機械、そして国民はお国のために尽くすべしという、戦前の国家主義的な思想である。

 戦前に戻ることに賛成する国民は少ないと私も思う。しかし、残業代ゼロ法案は米国でも行われていて、米国の意向でもある。実施するときには、国民の高所得者や公務員への嫉妬、妬みといったものを利用して、国民をうまく懐柔しながら、段階的に対象者を拡大するのだろう。

 残業代ゼロ法案は、財界と米国の意向により政府・与党が労働法を形骸化させてきた近年の流れの中で、とどめの一撃ともいえるものだ。米国でもやっているのだからと、民主党の一部の議員(旧自由党)も賛成するかもしれないが、サラリーマンはいい加減に目を覚まさないと取り返しのつかないことになる。

参考ブログ等
残業代ゼロ法案問題点と今後は(東京新聞)
「工場労働者は時間だけが売り物」柳沢厚労相さらなる仰天発言!(情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士)

January 29, 2006

靖国問題と憲法9条

 前回の記事「『ブレア時代のイギリス』−イギリスの労働党と日本の民主党」は、最後の方で靖国問題に少しふれることになった。私は靖国問題については詳しくないので、あまりふれたくなかったのだが、大阪高裁で違憲判決が出ているとおり、私は首相の靖国参拝は憲法違反であると思っている。

 小泉首相が1月25日の参院代表質問で、「アジア諸国において、中国、韓国以外に参拝を批判する国はない」と述べたことは、中国と韓国に対するむき出しの敵意であるだけでなく、戦争中、大東亜共栄圏に入ったすべての国々の国民を敵に回す発言であるといってよい。国として公式に批判していなくても、首相の靖国参拝を苦々しく思う人が東アジアにたくさんいることは、シンガポールのリー・シェンロン首相の発言をみるだけでも容易に想像できる。

参院代表質問 靖国参拝で中韓の対応に改めて疑念 首相(毎日新聞・ヤフー)
東南アジアでも反発と懸念 小泉首相の靖国参拝(共同通信・ヤフー)

 論理を無視した小泉首相の発言に対しては、難しいことを書くより、誰にでもわかるような安易な言葉で訴えたほうがよい。小泉首相によると靖国参拝を批判していないはずの台湾に国籍を持つ、日本在住のエロテロリスト、インリンさんはこう訴える。

アジアの安眠(インリン・オブ・ジョイトイの日記)

ところで・・・・、小泉首相は「二度と戦争を起こしてはいけない!」って日本が侵略戦争を起こしたこと認めて反省してるんですね!エライ!エライ!
ならもう一歩素直になって、アジアの犠牲者もいろんな宗教の人も宗教嫌いな人も傷つかないように追悼して下さい。
あなたは個人じゃなく日本の代表なんですから一つの宗教にこだわるのはおかしいです。
日本の憲法にも違反してます。
しかも、靖国神社は、国民を洗脳してアジア侵略の加害者にした軍国主義の宗教で、今でもあの侵略戦争を美化して正当化してるんですよ!
そこで祈るなんてのは、中国・台湾・韓国・朝鮮・沖縄・ベトナム等のアジアの被害者だけではなく、日本の為だと洗脳されて死んだ日本人や植民地の人達にも失礼です。
今、日本人でも正常な人は怒ってます。
侵略されたアジアの人達が怒るのは当然です。
あなたはいつもアメリカの言いなりになってるくせに、アジアの人達の当たり前な気持は無視なんて、かなりおかしいと思う。
「二度と戦争を起こしてはいけない!」って思うなら、矛盾した偏った宗教でじゃなくて、出来るだけ多くのみんなが共感出来る施設で、平和な未来をめざす誓いをして下さいよ。

 小泉首相の靖国参拝は日本国憲法20条と89条に違反しているが、憲法違反を軽視する首相を党首とする自民党が、憲法改正を企てているのは憲法をもてあそんでいるとしか思えない。

 私は自衛隊も日米安保も容認しているし、PKOのような軍事的国際貢献も有りだと思っているが、憲法9条改正には反対である。

 なぜなら、現時点で自衛隊、日米安保、PKOともに解釈改憲で問題なく運用しているからである。今、9条改憲するということは、決して自衛隊を憲法で容認するといったレベルではなく、日本の自衛隊が集団的自衛権を自由自在に行使しながら、米軍とともに世界的に派兵できるようになることが目的だろう。

 要は、米軍の手足となって対テロ永久戦争に荷担し、それによる軍事大国化が進むことになる。さらに、米軍と離れて、日本単独の軍事行動という誘惑が高まってきたとき、日本の軍国主義化という可能性が捨てきれない。自民党タカ派の政治家はそこまで視野に入れていると私はみている。自衛隊の存在を明文化するためだけに憲法改正することなどありえないと考えるべきだ。

 自衛隊を憲法で正式に位置づけよう、プライバシー権や環境権を憲法に書き込もう、といった甘い言葉にだまされてはならない。

 「9条守ろう! ブロガーズ・リンク」に賛同します。
(インリンさんも賛同しています)

9条守ろう! ブロガーズ・リンク

October 15, 2005

よみがえる治安維持法—共謀罪法案

 今国会では、日本のファッショ化を象徴する3つの法案が審議されている。憲法改正時の反対運動を規制する国民投票法案、実質的に障害者切り捨て法案といわれている障害者自立支援法案、そして、戦前の治安維持法によく似ている共謀罪法案である。通常であればまず成立しない危険な法案であるが、与党で衆院の議席数の3分の2を突破しているので、与党の一存で成立できる状態となっている。にもかかわらず、無力感のせいか、マスコミがあまり取り上げていないので、一般にほとんど知られていない。

 共謀罪は、日本国憲法第19条で規定されている思想及び良心の自由に立ち入る点と、権力側がどのようにも解釈できる点で大きな問題がある。

 戦前の1925年、加藤高明内閣が普通選挙法とセットで治安維持法を成立させた。政府は提案のとき、無政府主義・共産主義を取り締まるもので、穏健な労働運動や社会運動を抑圧するものではないと説明したが、のちには次第に拡大解釈され、一切の反政府思想が抑圧された。行為ではなく思想そのものが処罰の対象にされたのである。

 共謀罪も治安維持法と同じように拡大解釈されていく危険性がある。そんなバカなと思っても、ここで止められなければいつか来た道である。

参考
治安維持法(1925年加藤高明内閣公布)
第1条 国体ヲ変革シ又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シ又ハ情ヲ知リテ之ニ加入シタル者ハ十年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス
 前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス

1928年 改正治安維持法(田中義一内閣)
1941年 再改正治安維持法(近衛文麿内閣)

参考ブログ等
国民「見ざる聞かざる言わざる」投票法案&相談しただけで捕まる法案 審議開始!(J憲法&少年A)
「共謀罪」法案国会審議入り/「記者クラブ」という名の“出島”(kitanoのアレ)
治安維持法のこと(中山研一の刑法学ブログ)
保坂展人のどこどこ日記
共謀罪 3度目の国会提出(東京新聞)

August 14, 2005

つくる会教科書を杉並区民は支持するのか

 つくる会の教科書は既にいくつかの自治体で採択されていたが、杉並区という東京のリベラルな地域で採択されたことに驚かされた。石原知事の東京都(都立の中高一貫校等)や、保守的な地方で採択されるのは、予想されたことであったし、採択した自治体数もわずかであったので、このまま下火になるのではないかと思っていたのである。

『つくる会』教科書攻防(東京新聞8月6日)

■「杉並区民は無関心過ぎる」

 別の区民は「杉並区は住民運動が根付いた先進地域のイメージがあるが、実は区民は無関心過ぎる。『リベラルでやり手』の印象を与える区長の下で、つくる会の教科書を支持しなかった区教育長が辞めていても、その事実に関心を持たない」と指摘した。

【関連】 現場の意向尊重を 政治的中立損なう恐れ(東京新聞8月12日)

<解説>  「新しい歴史教科書をつくる会」が主導する扶桑社版の歴史教科書は、太平洋戦争を当時の日本側の公称である「大東亜戦争」と表記し、神話を多く取り上げるなど、特定の歴史観が反映されている。このため、中国や韓国が採択に強く抗議しているほか、国内でも、支持派と反対派が激しく対立し、四年前の一斉採択では市区町村で全く採択されなかった。

 今回「つくる会」主導の教科書を採択した杉並区教委や東京都教委の場合、同会の思想に共感する区長や知事の政治姿勢が影響した可能性が強い。教科書の採択権限は教育委員会にあるが、委員は区長や知事が議会の同意を得て任命するからだ。

 杉並区では前回、同教科書への評価が委員の間で分かれ、その後、山田宏区長の側近だった元区職員が委員に就任。この委員は当初は三種類の教科書を支持したが、最終的に「つくる会」主導の教科書を推した。

 まさかとは思ったが、やはり元民主党区長の意向のようだ。民主党を支持すると、つくる会教科書を支持したことになると思った有権者はほとんどいなかったのではないか。小沢自由党から社会党までの議員が一緒になった党では、歴史認識や安保・外交問題で一致する方が不思議な話なので、ばらばらと言われても仕方が無い。政権交代達成後は暫定政権にして、できるだけ速やかに保守派とリベラル派に分裂して、自民党を含めた形で政界再編すべきだろう。そうしないと、有権者はどの党に投票すればよいのかわからない。

 13日、グラビアアイドルのインリンさんがブログで次のように主張した。

S cawaii(インリン・オブ・ジョイトイの日記)

ちなみに今日は、平和を愛する私としてはマジ許せない事が東京で起きました。 日本の侵略戦争を否定して美化してる人達が作った歴史教科書を杉並区が採用したんです(>_<) 日本人は過去の過ちを認めて反省して教えて、そしてアジアの国と平和な未来を築くべきだと思います。 今の若者に過去の責任はないけれど、過去の過ちを正しく知る権利と義務があると思います。 恐ろしい事に巻き込まれない為には、 何が恐ろしいか知っていなければ反対出来ません。 残念ながら、日本が侵略戦争を行ったのは事実です。 嘘で事実をごまかすのでは、日本人も含めた戦争犠牲者がかわいそう! 嘘の教育をしたら、また、未来の戦争犠牲者と加害者を作るだけです!

 私は知らなかったのだが、インリンさんはセクシーなグラビアアイドルで、以前から政治的な発言をしているようだ。台湾生まれだが、台北政府よりも北京政府に好意的なようだ。
 インリンさんの上の主張に私は同意するが、中国人からこう言われたら反発する日本人は多いだろうと思う。しかし、台湾人からこう言われたらどうだろうか。台湾人といえば親日的な人が多いことで知られるし、中国嫌いの石原知事も李前総統と交流があるなど、反中派で台湾に好意的な人は多い。
 インリンさんは台湾人である。これだけであれば、日本人には耳が痛い。しかし、北京政府に好意的であれば、本当は中国人なのではないか、そうであればけしからんという訳のわからない反中派からの批判が出てくるだろう。

 さて、今回この記事を書くにあたって、つくる会教科書(中学の歴史)を読んでみることにした。まだ全部読んだわけではないが、感想としては以下のとおり。
1 中学生の内容としては難しい。
2 神話が多く紹介されていて、史実と神話が混同されかねない。
3 保守派の歴史観が紹介されている。そのこと自体は問題ない。問題なのは、保守派の歴史観がほとんど一方的に紹介されていること。
 初めて歴史を学ぶ中学生の段階で、保守派の歴史観を客観的に読むのは至難の業だろう。例えば一例を挙げると、共産主義が全体主義の一種として紹介されている。スターリニズムが全体主義の一種といわれることはあっても、共産主義すべてを全体主義とするのは私は今まで聞いたことがないし(ハンナ・アレントはスターリニズムについていっている)、そのような説があるとしても、中学校の歴史教科書で断定的に紹介するのはあまりにも学問的に乱暴ではないだろうか。(荒らしが来そうなのであらかじめ言っておくと、私は共産主義を支持していない)
 最後にインリンさんからのメッセージ。

だから、女の子がセクシーで目標のある自立した人生を生きる為に、 絶対に守らなければならないこと それは平和と自由と平等ってことなんですよね☆

August 07, 2005

JR西日本の脱線事故はこのまま風化してしまうのか

 JR西日本の脱線事故については、運転士の死亡等で当初原因究明が難航したため、当ブログで取り上げるのを避けてきたが、三ヶ月以上たっても刑事捜査が進展していないようなので、今回取り上げることにした。捜査当局がこのまま幕引きを狙っているとしたら、死者は浮かばれない。

脱線死者73人に カーブで時速108キロ 兵庫県警 JR西を強制捜査(西日本新聞4月25日)

 兵庫県尼崎市のJR福知山線で二十五日朝に起きた快速電車の脱線事故で、尼崎東署捜査本部は二十六日、業務上過失致死傷容疑で、JR西日本の京橋車掌区(大阪市都島区)から資料を押収した。また大阪支社(大阪市阿倍野区)など七カ所にも捜査員を派遣し、運行記録や勤務日報などの任意提出を求めた。

 事故直後、警察は業務上過失致死傷容疑で捜査を始めている。しかし、JR西日本から資料を押収したのは事故翌日で、しかも任意提出にしている。
 過密ダイヤや日勤教育など、JR西日本の組織的問題があったことは周知の事実となっているところだが、JR西日本にとって不利になる資料は警察が入手していない可能性が高い。警察は本気で捜査しているのだろうか。

「ゆとり」程遠く JR宝塚線新ダイヤに運転士指摘(神戸新聞6月19日)

 新しい暫定ダイヤでは、最高時速を百二十キロから九十五キロに、現場カーブの制限時速を七十キロから六十キロに下げたが、基準運転時間は川西池田―尼崎間で三十五秒増えるにとどまった。

 ベテラン運転士は「余裕のあるダイヤに見えるが、実際は制限速度いっぱいで走らなければ遅れてしまう」。別の運転士も「駅の停車時間も延びたが、以前から遅れがちだった実態に合わせただけ。ゆとりができたわけではない」と話す。

責任追及から分析型へ JR西日勤教育(神戸新聞7月7日)

 尼崎JR脱線事故を受けて、JR西日本が進めていた運転士らに対する「日勤教育」の見直し案の具体的な内容が六日、明らかになった。教育期間の基準を初めて定め、ミスの重大性により一週間から一日まで幅を持たせる。教育の重点を、ミスの責任追及から原因分析に変更し、再発防止に役立てる。重大な事故につながりかねない赤信号の見落としが一週間と最も長く、脱線事故の主因とされる速度超過を含む禁止事項の違反は三―五日としている。

 ゆとりを持たせたダイヤに改正したり、日勤教育の見直しをするなど、JR西日本の事故後の対応が続いているが、どこまで実効性のあるものなのか。第三者機関の厳しいチェックでも受けない限り、とても実効性が担保できないのではないか。
 新ダイヤについては、来春にも元のダイヤに戻したいと鉄道本部長が発言し、批判を受けて撤回した経緯がある。本当に安全だったら、事故は起きなかったわけだが、JR西日本の上層部は今でも安全なダイヤだったと思っているようで、事故の原因は運転士のミスと言わんばかりの対応だ。このような会社に自浄機能があるとはとても思えない。

管理部門の「過失」焦点 捜査長期化は必至(神戸新聞6月25日)

 尼崎JR脱線事故で、兵庫県警尼崎東署捜査本部は二十四日までに、遺族や乗客、JR西日本関係者ら約五百五十人の事情聴取を終えた。現場カーブでの速度超過が主因とされる事故の捜査は今後、JR西の管理部門にこうした事態を予測しながら回避措置を怠るなどの「過失」がなかったかどうかが焦点となる。ただ、背景として指摘される余裕のないダイヤ設定や新型列車自動停止装置(ATS―P)の整備遅れ、ミスに課せられ懲罰的な「日勤教育」などから、「過失」の立証に結び付けるのは難しく、過去の鉄道事故同様、捜査の長期化は避けられないようだ。

 業務上過失致死傷容疑での捜査は難しいといわれている。私は今回の事件で、JR西日本の上層部に刑事責任があるのではないかと思っているが、法的に立件できなければそれはそれで仕方ない。しかし、不起訴になってしまった場合でもしっかりと再発防止策がとられなければならない。国土交通省の出番である。

2005年4月25日に起こった福知山線脱線事故について(富久信介・17才の生涯)

今回の事故は、ひと言でいえば、ずさんな鉄道行政が招いたことで、107人の亡くなられた乗客と負傷された大勢の乗客は国交省鉄道局の怠慢の犠牲者だと思います。無論、JR西日本が安全を軽視しずさんな運行をして事故を招いたことは論を待たないが、それを許してきたのは、鉄道に関する殆ど全ての権限を持っている国交省鉄道局です。
本来統一すべき安全基準を鉄道事業者任せで各社バラバラの状態を放置してきた国交省鉄道局の怠慢と不作為がまた大惨事を招いたことは明白です。日本には数社しか鉄道車両メーカーはありません。レールも全て形状は同じで、これも数社しかない鉄鋼メーカー製でしょう。つまり、鉄道事業者は異なっても、同じ車両が同じ設計のレールの上を走っている訳です。安全基準が鉄道事業者任せでバラバラでいい筈がない。誰が考えたって、おかしいと思います。鉄道局の職員にとっては鉄道事業者や鉄道車両やレールのメーカーは重要な天下り先です。役人は自身の天下り先を大事にするから、厳しい安全基準を設けて、鉄道事業者の経営を危うくすることは彼らの利益に反することだから、極めて緩い基準しか決めてないのだと考えるのは穿ち過ぎでしょうか。

 日比谷線脱線衝突事故の遺族の方が、JR西日本だけでなく国土交通省の責任を問う必要を訴えている。確かに今回、国土交通省の責任を追及したマスコミを見ていない気がする。遺族の悲しみを強調したり、マンションの建て替え問題など、情に訴えかける報道ばかりで、マスコミに原因究明・再発防止という観点があまり見られなかった。
 国土交通省の責任については、安全第一の鉄道行政に政治主導で変えていくしかない。ゆえに、鉄道事故を考える場合にも、政治という観点が欠かせない。政治をおろそかにしていると、思わぬ所でそのツケが出てくる。
 何でも民営化すればバラ色になると思っている首相のもとでは、安全第一の鉄道行政などできるわけがない。

懲りぬJR西の体質とは ミスした運転士追い込む?再教育(東京新聞4月27日)

 さらに労務管理の強化も運転士にのしかかる。「JR東日本では一分間の遅れは、訓告にボーナスは5%カット。昇給ランクも下がる」(田中氏)。JR西日本の現場社員も「会社は来年度から、定期昇給抜きの完全な評価主義賃金体系を導入しようとしている。いまでも訓告が二回続くと給与の等級が一号下がり、二分遅れれば内部規範で乗務を降ろされる」と話す。

 「旧国鉄時代は『安全は輸送業務の最大の使命である』で始まる安全綱領を毎日、唱えさせられた。現在のJR綱領は『われわれはリーダーカンパニーを目指します』だ」とJR東日本関係者はため息をつく。

 「昔は見習い中『全責任は運転席にあり、総裁が乗ってきても運転士の判断が勝る』と同乗する先輩運転士に誇りをたたき込まれた。いまはマニュアル漬け。かつては想定外の事態にも冷静に対応できるよう先輩がわざとオーバーランをして、パニックからの回復を練習させた。いまではあり得ないことだ」

 今回の事故について、自殺した運転士の父親は訴える。「背景には職場の余裕のなさがあるのではないか。これを運転士個人の責任に帰したり、『再発させません』という精神論だけで終わらせてはいけない」


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