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October 15, 2005

よみがえる治安維持法—共謀罪法案

 今国会では、日本のファッショ化を象徴する3つの法案が審議されている。憲法改正時の反対運動を規制する国民投票法案、実質的に障害者切り捨て法案といわれている障害者自立支援法案、そして、戦前の治安維持法によく似ている共謀罪法案である。通常であればまず成立しない危険な法案であるが、与党で衆院の議席数の3分の2を突破しているので、与党の一存で成立できる状態となっている。にもかかわらず、無力感のせいか、マスコミがあまり取り上げていないので、一般にほとんど知られていない。

 共謀罪は、日本国憲法第19条で規定されている思想及び良心の自由に立ち入る点と、権力側がどのようにも解釈できる点で大きな問題がある。

 戦前の1925年、加藤高明内閣が普通選挙法とセットで治安維持法を成立させた。政府は提案のとき、無政府主義・共産主義を取り締まるもので、穏健な労働運動や社会運動を抑圧するものではないと説明したが、のちには次第に拡大解釈され、一切の反政府思想が抑圧された。行為ではなく思想そのものが処罰の対象にされたのである。

 共謀罪も治安維持法と同じように拡大解釈されていく危険性がある。そんなバカなと思っても、ここで止められなければいつか来た道である。

参考
治安維持法(1925年加藤高明内閣公布)
第1条 国体ヲ変革シ又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シ又ハ情ヲ知リテ之ニ加入シタル者ハ十年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス
 前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス

1928年 改正治安維持法(田中義一内閣)
1941年 再改正治安維持法(近衛文麿内閣)

参考ブログ等
国民「見ざる聞かざる言わざる」投票法案&相談しただけで捕まる法案 審議開始!(J憲法&少年A)
「共謀罪」法案国会審議入り/「記者クラブ」という名の“出島”(kitanoのアレ)
治安維持法のこと(中山研一の刑法学ブログ)
保坂展人のどこどこ日記
共謀罪 3度目の国会提出(東京新聞)

October 10, 2005

「Around the Sun」

「この曲が戦争について僕らが言及する唯一のものだと思ったら大間違いだ。最近僕らの音楽にはたくさんの異議申し立てが織り込まれている。中にはブッシュ政権に対して直接、もしくは間接的に抗議したものもある。声を挙げないでいられるわけがない。」 (R.E.M.のマイク・ミルズ)
 イラク戦争が開始された2003年3月20日からわずか5日後、ウェブ上で公開した「Final Straw」について。

October 09, 2005

シュンペーターとサッチャリズム

 前回、「カルト宗教のような新自由主義」で反ケインズ経済学を取り上げたが、その補足として、今回、森嶋通夫著『思想としての近代経済学』(岩波新書1994年)から、シュンペーターとサッチャリズムの関係について取り上げたい。

 シュンペーターはオーストリアの経済学者で、1942年、『資本主義・社会主義・民主主義』を著した。その中で、資本主義の発展が引き起こした上部構造の変質(エリートの転進)が、経済を蝕むことによって、資本主義から社会主義へ体制変換すると主張した。

 森嶋氏によると、シュンペーターは社会主義化による官僚機構の肥大化や、競争不足による能率低下は一切分析していない(p157)。実際、イギリスは労働党政権が社会主義的な政策を進め、福祉国家となった結果、経済的業績が悪化し、自由放任を主張する「マネタリスト」の経済学者が現れ、1980年代に新自由主義のサッチャー政権が誕生した。

 それまでのイギリスは、新しい福祉国家を求めて、保守党と労働党によって、社会化政策の「やり過ぎ、やり不足」の微調整をしていた。それに対してサッチャーは、微調整が資本主義の安楽死と社会主義の無痛分娩をもたらす以外の何者でもないと考え、福祉国家を拒否し、シュンペーター理論に対して反転攻勢に出たのである。

経済学には迷信の類が、幾つかある。セイ法則も迷信であれば、「見えざる手の導き」も迷信である。そして両者には関係がある。セイ法則が成立している時代には、見えざる手を信じてもよいが、反セイ法則の時代は、耐久財に関する市場のディレンマのゆえに、見えざる手は働きえなくなっている。反セイ法則の下では、完全雇用均衡は、投資不足のゆえに実現せず、莫大な失業が生じる。そしてこれが、「ヒトラー時代」を生んだり、社会主義化を引き起こしたのである。このことを忘れて、いまなお反セイ法則が支配し続けている時代に、「私有化政策」を敢行して資本主義への反転を試みても、大量失業が生じ不成功に終わるだけである。サッチャーの誤りは、新自由主義が反セイ法則の経済に不適合であることを自覚しなかったことにある。にもかかわらず彼女の反転のような試みがありうることを全く無視したのは、明らかにシュンペーターの手落ちであったといわねばならない。(p159)

 私は、保守政権と社民政権による社会化政策の補修正は必要であるし、望ましいものと思っている。しかし、レーガン、サッチャーや、現在の小泉政権による新自由主義は、補修正を遙かに越えて、これまでの福祉国家を否定する政策である。それは、大量失業を生じさせ、「ヒトラー時代」を生む可能性がある。

 イギリス・ブレア政権の「第三の道」にも違和感がある。「第三の道」は、新自由主義を通過した後の新しい福祉国家の模索であるが、新しい福祉国家の模索に新自由主義を通過する必要はなく、社会化政策の補修正で対応すべきだろう。

 経済的業績のために、大量失業を伴う新自由主義のショック療法をするのは本末転倒だ。国や大企業の経済的業績よりも、国民の生活を第一に考えた経済政策をとるべきだ。

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