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October 31, 2004

天皇発言で考える象徴天皇制と国民国家

国旗・国歌「強制でないのが望ましい」天皇陛下が園遊会で(朝日新聞)
 この天皇発言について、私は、米長氏の発言に対して、天皇陛下が一言言わざるを得なかったという、一種の事故と受け止めている。だから、この事故について、大げさに取り上げるのは控えたいところだが、象徴天皇制と国民国家を考える良い機会でもあるし、他のブログで良い記事を2点見かけたので、紹介したい。

天皇発言について(★J憲法&少年A★)

昨日行われた園遊会で、都教育委員の米長氏に対して、天皇が国旗国家について「強制になるということでないことが望ましい」と発言した、とニュースになっている。

宮内庁や閣僚は、この天皇発言に関して、「これまでの政府見解とも一致しており、特定の施策について見解を述べたものではない」とか、「象徴としてのお立場を十分にご理解になったうえでご発言になっており、天皇は国政に関する権能を有しないという憲法の趣旨に反することはない」などと言って、釈明に懸命になっている。

現行憲法の下で、天皇は国政に関する権能を一切有せず、天皇の発言が政治的影響力を持つことはありえないし、許されない。たとえば国体の開会式で述べられるような、天皇の「おことば」については、憲法解釈上もさまざまな見解があるが、公的行為であると解したとしても、私的行為だと解したとしても、あるいは国事行為だと解したとしても、天皇の発言はいかなる意味でも特定の政治的問題についての指針を与えるような意味で解されてはならないということは、憲法上の要請である。

今回の発言について、仮に天皇が「国旗国家の強制は望ましくない」と考えていたとしても、それを公的な場で述べることは政治や行政に対する不当な介入となるおそれがあり、そうした旨の発言を受けた側も、それを政策や行政活動に対する何らかの示唆であると受け取る可能性がある。
したがって、今回の天皇の発言は象徴としての役割にはふさわしくない、きわめて不適切なものである---

 今回、天皇陛下の発言に対して、喜んでいる人が多いようで、私も正直なところ喜びたい気持ちがないわけではないが、象徴天皇制は憲法で定められたものであり、天皇による政治介入は絶対に許されない。その点、民主党の岡田代表の発言はおかしい。象徴天皇制である以上、天皇が政治的発言で何も言えないのはやむを得ない。
天皇発言で民主代表が「何も言えないのはおかしい」(朝日新聞)

園遊会での米長邦雄氏の発言とその返答について(マナヅル日々の雑記帳)

国民国家は擬制である、と言うとサヨク扱いされて、愛国者と称する人から散々に叩かれてしまうかもしれません。
でもね、「民族固有の歴史を尊重し、日本の伝統を重んじる」と声高に叫ぶ「愛国者」さんが高々200年くらいしか歴史のない、しかも西欧生まれの「ナショナリズム」や「愛国心」と言った概念を無批判に利用する、というのはどうにも傍から見てておかしい。
「国旗」「国歌」にしたってそう。
明治初期に近代国家として出発するにあたって慌てて作ったものである、ということと、彼ら自身の依拠する「歴史」と「伝統」という価値観はどう整合性をもつのか、これは私部外者なので全くわかりません。
で、話を戻しますと、国旗を掲げて国歌を斉唱させるということに何の意味があるんでしょうね、ってこと。
国旗を掲げて国歌を歌えばすぐ愛国者に変身できるんでしょうか。
自発的意思によらないで強制されて外面的に「愛国者らしく」見えるだけの人も愛国者なんでしょうか。
そもそも「愛国者」って何ですか?
政府の失政を笑って見守る人のことですか?
それとも自分の意見を人に押し付けたい、強制したい人のことですか?

 国民国家(nation state)は政治学の基礎で、かなりラフに説明すると、nationは国民・民族、stateは近代的国家組織を指し、これらは同一のものではない。多民族国家を想像すればすぐにわかるかと思う。単一民族国家というのは普通あり得ないが、単一民族神話がある日本のような国は世界でも例外的である。ヨーロッパでは市民革命以後、日本では明治維新後に成立した。
 近代国家・日本の伝統はわずかに1868年からであるし、日本の伝統とは日本文化を指すのだろうが、日本には様々な文化がある。日本の伝統を重んじるのであれば、沖縄やアイヌの文化も尊重しなければならないはずだが、そのような動きはまったくといってよいほど見られない。自分たちに都合のいい伝統ばかり振りかざして、国旗と国歌に忠誠を誓わされてはたまったものではない。
 私はヤマトの人間として、都民として、都教委のしていることを恥ずかしく思う。

参考
新版「国家論」入門(加藤哲郎のネチズン・カレッジ)
平成16年度教育施策連絡会(東京都教育庁)
国旗・国歌「強制でないのが望ましい」という帝(みかど)のお言葉に慌てふためく平成の陪臣(blog::TIAO)
天皇の政治的発言(懐疑派BLOG)
東京都教育委員会に告ぐ【戒厳令司令部】(反米嫌日戦線)
2.26事件(1936年)に今回の件を重ねたパロディー

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